最後にご長女Hさんの陳述書です。
仙台高等裁判所 民事部御中
2021年5月20日
控訴人 猪狩●●●
控訴審陳述書
判決が事実をみていないことは、母が自分の控訴審陳述書で述べていますので繰り返しません。私は救急医療における時間の大切さについて述べさせて頂きます。
父は症状が出現してから蘇生処置をするまでに時間がかかった、また、防護服を着たまま何分も苦しみ、意識不明の状態であったと聞きました。心肺停止から1分ごとに救命率は7〜10%低下すると言われています。私は医療従事者の一員として日々人の命に携わって仕事をしています。毎日の医療の場で救命医療の際には人の命は1分1秒も無駄にできない、一刻を争う事態なのだと深く学び、身に染みて感じています。実際に素早い蘇生を行われたことにより生存し退院する患者さんも見てきました。また、8月には私の祖母が深部静脈血栓症による肺梗塞で倒れました。呼吸停止、意識不明の状態の祖母を発見した叔母が咄嗟の判断で心肺蘇生を行ったことにより、一時は集中治療室に入っていた祖母も今ではデイケアに通い生き生きと毎日を過ごしています。たとえ、数分の遅延とはいえその数分がいかに貴重であり、直接的に生命に関わってきているのだということを東電と宇徳に知って欲しいです。
大好きな父の死が無駄にならないように、今後同じ悲しみを受ける人がいないように、私は真実を知り事実を明らかにして被告に責任を取らせていきたいです。この裁判によって、一労働者の生命の尊さを企業が真摯に考えるきっかけになればいいと考えています。
高等裁判所におきましては、公正な判断をくださるようお願い致します。
以上
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