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[これまでの取り組み] ③記者会見

労災認定を受けての記者会見の様子です(2018年11月7日)。
テレビ朝日報道
東京新聞報道

以下は記者会見当日に配布した資料からの抜粋です。事件の概要について短くまとめていますので、ぜひお読みください。



(1)猪狩忠昭(57歳、以下被災者という)は福島県いわき市内のいわきオール(株)(以下、会社という)に勤務し、毎日、東電福島第一原発(以下、イチエフという)の車両整備工場に派遣され、構内の車両の点検・整備の業務に従事していた。

(2)20171026日午前6時にイチエフに入構。午前7時に免震重要棟で朝礼に出席し、午前8時から車両工場で作業を行った。午前中の作業を終え午前11時免震重要棟に戻り、昼食休憩をとった。午後の作業のため午後1時前に工場に着いた直後、血の気が失せた表情で意識がなくなり、同僚がERに搬送した。ERからドクターヘリを要請したが、心肺停止状態で蘇生処置ができないため陸送救急車で高野病院に搬送された。午後230分頃に高野病院到着したが、午後236分に死亡が確認された。死因は「致死性不整脈」と診断された。

(3)被災者の妻(以下、遺族という)は、夫が毎日午前430分に会社に出勤し、同僚とともに会社の車両で国道6号線を使ってイチエフに移動し、イチエフでの業務終了後も会社に戻り、午後5時~6時まで業務を行ってから帰宅していた。会社とイチエフとの往復の移動時間を含めると相当な長時間労働に従事しており、遺族は夫の死を過労死ではないかと確信した。

(4)遺族は支援者の援助を受けながら被災者の勤務実態を調査した。会社から提供されたタイムカード等の記録から、被災者の時間外労働は死亡直前の1か月で122時間、死亡前6か月の平均が110時間を超えていたことが判明した。201839日、遺族はいわき労働基準監督署に労災保険の遺族補償年金等の請求手続きをとった。同署は労災認定の標準処理期間の6か月を経過しても決定を出そうとしなかった。遺族は被災者の一周忌までには墓前に認定の報せを届けたいと願っていた。10月半ばすぎ、同署から遺族に連絡が入り、1016日付けで被災者の死亡を業務上と認定し、遺族補償年金等を支給決定したことが伝えられた。

(5)イチエフでは事故発生直後の20115月、過酷な作業環境のもとで心筋梗塞を発症し死亡した配管工が労災認定されている。本件の特徴は、事故後のイチエフ構内で、全面マスクとタイベックを装着して車両の整備、点検作業を行うという過酷な作業負担にくわえ、会社とイチエフ間の往復移動を含めた長時間労働による過重負荷が認められ、労災認定されたことにある。

(6)被災者を過労死させた会社の責任は重い。また車両整備工場の業務を請負っていた元請会社の責任も免れない。東電は被災者が亡くなった当日夕方、被災者の死亡と業務との関連性を否定する記者会見を行っている。下請労働者の尊い命が犠牲になったにもかわらず、自らの責任を回避するかのような東電の対応は、悲嘆にくれる遺族の感情を逆なでし、下請労働者の尊厳を否定するものであり、道義的にも許されるものではない。

(7)福島原発事故後10数名の作業員がイチエフ構内で倒れ、亡くなっている。これまで脳・心臓疾患を発症した労働者の労災認定にも取り組んでいきたい。遺族は二度と過労死が起きないことを望んでいる。原発労働者の被ばく労働対策の強化や長時間労働や過重労働の規制、作業環境の改善に取り組んでいきたい。
支援者とともに記者会見(2018年11月7日)



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