仙台高裁の控訴棄却判決を弾劾する!
地裁判決の一部を変更するも、東電・宇徳の法的責任認めず!
2022年5月19日
福島第一原発過労死責任を追及する会
共同代表・事務局長 狩野 光昭
長いあいだ猪狩忠昭さん遺族を励まし物心両面のご支援いただいた全国の皆様方に、心から感謝申し上げます。
本日仙台高裁は、猪狩忠昭さん過労死責任追及裁判の控訴審において、先の福島地裁いわき支部に続いて、再び東京電力及び元請け宇徳の法的責任を認めない不当な判決を下しました。私たちは、猪狩さん遺族の4年7か月にわたる事実究明の活動、さらに公正判決を要請する署名をごく短期間で3,477筆分集めていただいた皆様方とともに、本日の仙台高裁の不公正な判決を断固弾劾します。
遺族は、いわき労基署の労災認定に対する消極的態度を許さず、認定実現のための申し入れを繰り返し行い、ついに2018年10月、長時間労働を原因とする過労死認定を闘い取りました。また、忠昭さんに無給で長時間労働をさせた雇用者いわきオールに対する未払い賃金請求裁判においては、当時の同僚が亡き忠昭さんの過労死ラインを超える長時間労働を証明する証人として法廷で証言し、2020年3月に勝訴をかちとることができました。
そして過労死認定と未払い賃金請求裁判の勝訴を土台として、いわきオール及びその2名の役員と東電と宇徳に対する損害賠償請求裁判が闘われ、2021年3月、福島地方裁判所いわき支部で判決が下されました。この判決では、いわきオール及びその2名の役員についての過労死責任と損害賠償責任が認定され、その後当事者同士の交渉でいわきオールの役員が遺族に謝罪し賠償金を支払うという成果をかちとることができました。
しかしながら、いわき支部が東電と宇徳の責任を一切認定しなかったため、遺族はいわき支部の判決の取り消しを求めて仙台高等裁判所に控訴しました。
この裁判における遺族側の主張は、
① 東電が自ら作成した救急マニュアルによると、「急病人が出た場合、周りにいる労働者が携帯電話で救急医療室に状況を知らせて医師の指示を仰ぐ」とされている。
② しかし、忠昭さんが宇徳の整備工場前で倒れた時、周りの同僚たちは一人も携帯電話を持たされておらず、さらに、整備工場には電話が設置されていなかった。
③ 電話で救急医療室に連絡できなかった結果、治療開始の準備と治療開始時間が遅れ、忠昭さんが適切な救命医療を受けられず、尊い命が奪われた。償う義務がある。
という内容です。
これに対し東電と宇徳は、「いかなる手立てをしても生存の可能性が低かった」という開き直った主張をしていました。
仙台高裁は、事実認定において遺族側の主張の通りではありませんが、福島地裁いわき支部の判決を一部変更しました。しかし東電と宇徳の法的責任を認めず、控訴を棄却しました。しかし私たちは遺族と共に闘い続けます。これからも数十年続く福島第一原発の廃炉作業、周辺作業に携わる労働者が福島にいます。そして全国には国と東電、企業の横暴と闘い続けている人々が大勢います。全国の人々と一緒に私たちも力の限り闘いぬきます。
共に勝利をかちとりましょう。
過労死のない社会、原発のない世界を作り出しましょう。
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