福島第一原発過労死裁判の高裁判決が5月19日に行われます
公正な判決を勝ち取るために賛同署名への協力を呼びかけます
2017年10月26日、福島第一原発(イチエフ)構内の自動車整備工場で働いていた猪狩忠昭さん(57歳)は全面マスク・防護服姿のまま倒れ、帰らぬ人となりました。死因は致死性不整脈でした。東京電力は、猪狩さんの死亡当日に記者会見を行い「労災、過労死といったものではない」と発言。しかし、調査によって猪狩さんは亡くなる直前の半年間に毎月100時間を超える残業を強いられており、その残業代もまともに払われていませんでした。遺族の闘いが始まります。
猪狩さんを雇用していた、いわきオールそして東京電力、元請け・宇徳を相手取り損害賠償請求裁判も闘われていました。
2021年3月、福島地裁いわき支部は雇用者いわきオールの安全配慮義務違反を認め約2500万円の支払いを命じる判決を下しました。しかしながら東京電力と宇徳への損害賠償請求は棄却され、闘いは仙台高裁・控訴審へと移行しました。
猪狩さんが亡くなった当時、東急電力はイチエフで働く労働者に「傷病者発生の第一報はER(緊急医療室)へ」とするカードを配っていました。しかし、猪狩さんが倒れた時周囲に携帯電話を持っている労働者はひとりもいませんでした。整備工場にも電話は設置されていません。そのためERへの連絡ができず処置が遅れたことは明白です。東電も「2~3分の遅れ」は認めています。東電は傷病者発生の際に速やかにERへと架電できる体制を構築する義務があったのにそれを怠ったのです。
9月に行われた第一回口頭弁論では裁判長が東電の道義的責任を追求せんばかりの発言を行い和解が強く勧められ和解協議が始まりました。しかし協議で示された和解案は遺族の納得いくものではなく、遺族は控訴の原点に立ち返り救急医療体制の不備を問い判決を求めていきます。
以上の証拠提出について東電・宇徳は反論を行っていません。すでに結審をし、判決を迎えるという状況です。私たちはこの重要な陳述と証拠を充分に審理した公正な判決を求めます。高裁での闘いは最後の局面を迎えようとしています。イチエフでの救急医療体制の不備を問い、原発労働者の命を守りたいという遺族の闘いにさらなる支援を訴えます。
2022年3月
【署名呼びかけ】
福島第一原発過労死責任を追及する会(共同代表 狩野 光昭)
全国一般労働組合全国協議会(中央執行委員長 平賀 雄次郎)
東京労働安全衛生センター(事務局長 飯田 勝泰)
いわき自由労働組合(執行委員長 鈴木 裕)
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