スキップしてメイン コンテンツに移動

3・1、証人尋問に向けて

 

裁判所が公平な判決を下すよう多くの方々の注目をお願いします。

原告ら訴訟代理人

弁護士 齊藤 正俊

2019年2月13日、故猪狩忠昭さんのご遺族は、雇用者であったいわきオールや東京電力ホールディングスらを被告として損害賠償を求める訴訟を提起しました。

 この訴訟は、故忠昭さんが長期にわたって長時間の過重労働を余儀なくされた結果2017年10月26日、東京電力福島第一原発構内で致死性不整脈で突然死したことに対する安全配慮義務違反の責任を問う訴訟と、前記原発構内で働く労働者の急激な体調悪化や事故に備えた救急医療体制の不備により故忠昭さんが適切な医療サービスを受けられなかったことに対する責任を追及する訴訟、そして、故忠昭さんの死亡当日の東京電力の記者会見において、事実関係が把握し切れていなかったにもかかわらず東京電力が故忠昭さんの死亡と前記原発構内での作業との因果関係を否定した点の責任や隠蔽体質を追及する訴訟で成り立っています。

これらの訴訟の中でも、とりわけ長時間の過重労働をさせたままその状態を放置していわば過労死させたいわきオール等の責任を明らかにすることがメインですが、故忠昭さんが急激な体調悪化を来した場所は、史上稀に見る重大な原発事故を引き起こした東京電力福島第一原発構内ですから、このような過酷な就労現場における救急医療体制を東京電力が提供していたか、さらには東京電力にとって不都合な事実を過去に隠してきた同社の隠蔽体質を問う訴訟でもあります。

提訴以来約2年が経過しましたが、この間、被告らは自らの責任を否定し全面的に争う姿勢をとり続けてきました。しかし、故忠昭さんの過重労働については、提訴前の労災認定によって致死性不整脈で死亡した忠昭さんの長時間労働が認定されており、いわきオール等の責任は免れないと考えています。また、その他の東京電力と元請け宇徳の責任についても裁判所がどのような判断を示すか注目が集まります。

このような中で、それぞれの被告との間での争点が整理される中で、昨年12月の裁判手続において、今年3月1日午後全部を使って集中的に証人尋問等を行うことが決定され、尋問終了後は訴訟を終結することになりました。

3月1日は、いわきオールの当時の代表者、東京電力の社員(※)、そして故忠昭さんのご遺族の順に尋問を行うことになっています。新型コロナ禍の中で、裁判所でも感染防止対策を取っており傍聴にも一定の制約があると思いますが、是非多くの方々に裁判に注目していただき公正な判決を下すよう声を上げていただければと思います。

報告集会で発言する齊藤弁護士




※直前になって被告・東京電力がER担当社員の証人申請を取り下げたため、証人尋問は原告・遺族3名と被告・いわきオール前社長のみになりました。

コメント

このブログの人気の投稿

控訴棄却を弾劾する!! あと一歩力及ばず!!

  5月19日、仙台高裁で判決がありました。残念ながら判決内容は控訴棄却。救急医療体制の不備について東京電力・宇徳の責任を認めない不当な判決でした。イチエフ構内の救急医療体制の責任はどこにあるのか、誰にあるのか。誰が労働者の健康と命を守るのか。私たちはこれからもその事を問い続けていく。  しかし、この判決によって東電と宇徳が免罪されたということでもありません。  判決は、「忠昭の異常に気がついた時点で救急医療室に事前連絡が入っていれば、救急医療室において防護服の着用など放射線のスクリーニング検査の準備をし、救急医療室に迅速に急病人を受け入れて直ちに救急処置を施す準備をすることができたはずであって、そうすれば忠昭が午後1時10分より数分前に救急医療室で医師の治療をうけることができたといえる。」と指摘し、事前連絡がなかったために治療開始に数分の遅れが生じたことを認めました。  さらに「作業グループ内に1つでも緊急連絡用の携帯電話が配布され、急病人が発生した場合には速やかに救急医療室に電話連絡する必要があることが作業員に周知され、数分でも早く治療を受けることができたならば忠昭を助けることができたのではないかと悔やまれる気持ちになるのは、実際に忠昭の命を助けられたかは必ずしも明らかでないとしても、その気持ちが理解できないわけではない。」と忠昭さん死亡当時の救急医療体制に疑問の声と遺族の心情に理解を示しました。  それだけではありません。  忠昭さんが働いていた整備工場には固定電話が設置されておらず、「…忠昭を救急医療室に搬送した作業員は誰一人として携帯電話を持たず、搬送中に事前連絡をしようにもできなかった。また、救急医療室に入室するには、除染室に入った後、救急医療室に通じる内扉を叩いて内部の職員を呼ぶように掲示されているにすぎず、忠昭が搬送された際にはすぐに内部の職員が気づいたとはいえ、1Fという最先端の技術を扱う事業所であれば、インターフォンを設置するなど、もっと迅速かつ確実に急病人の症状を伝えられる設備も十分に考えるべきであったといえる。」、「…放射線被曝のリスク管理も含む各種の安全対策を担うことができるのは原子力発電所を設置、運営してきた被控訴人東電以外にはなく、被控訴人東電の第一義的な責任の下で、元請事業者、関係請負人と連携し、労働安全衛生水準の向上に努めな...

4月3日、4日 東京電力・宇徳、いわきオールへの連続行動の呼びかけ

 いわき自由労働組合および全国一般労働組合全国協議会の4月3日、4日の連続行動の呼びかけをアップします。  直前の呼びかけになり申し訳ありませんが、参加できる方はぜひお願いします。  以下、呼びかけ文です。   福島第一原発過労死事件 未払い賃金裁判  勝利判決下る!!  いわきオール、東京電力、宇徳は遺族に謝罪しろ!!    福島第一原発(イチエフ)過労死事件の賃金未払い裁判において、福島地裁いわき支部は 2020 年 3 月 26 日、いわきオール(株)に対して 1 年 11 ヶ月分の未払い賃金約 270 万円の支払いを命じる判決を下しました。   2017 年 10 月 26 日、福島第一原発構内の車両整備工場で働いていた猪狩忠昭さん( 57 歳)は、防護服・全面マスク姿のまま倒れ帰らぬ人となりました。死因は「致死性不整脈」でした。  東京電力は、猪狩さんが亡くなったその日の記者会見で「労災、過労死ではない」と発表。雇用者いわきオールも「労災ではないから」と遺族に言い放ちました。遺族は、いわき自由労働組合に加入し、タイムカードの公開を要求しました。その結果、猪狩さんは亡くなる直前の半年間でひと月 100 時間を超える時間外労働(残業)を強いられていたことが分かりました。これはいわゆる過労死ライン(ひと月 80 時間以上)を大きく上回ります。また、残業代もほとんど払われていないことも明らかになりました。  遺族は、残業代の適正な支払いを求めていわきオールを訴え、同時に労働基準監督署に労災の申請を行いました。 2018 年 10 月、労基署は「長時間労働による過労が原因」とする労災を認定しました。しかし、労災認定を受けてもいわきオール、東京電力、元請企業・宇徳からの謝罪はありませんでした。しかもいわきオールは「残業はなかった」と主張し続け、労基署による是正指導を受けても残業代の適正な支払いを拒否していました。 しかし、労基署だけでなく司法も、いわきオールが猪狩さんに過労死ラインを上回る長時間労働をほぼ無給で強いていた事実を認めたのです。いわきオールは判決を真摯に受け止め、速やかに遺族に謝罪するべきです。 原発労働者の安全、権利、名誉を守れ!!     いわきオール、東京電力、宇徳は労働組合との話し合い...

3・30 いよいよ判決

   3月30日、いよいよ判決を迎えます。  判決の直前ですが、3月13日にいわき駅前で配布したビラをアップします。  3月13日はあいにくの土砂降り。 「あれから 10 年原発事故は終わっていない 3 ・ 13 アクション」のスタンディングが午後から行われる予定でしたが、豪雨のため屋内集会のみに変更になりました。 11 時 30 分からのビラまきには全港湾小名浜支部の仲間や、東京から「オリンピック災害おことわり連絡会」の方々も駆けつけて下さり、遺族とともに豪雨の中ビラまきをやり抜きました。(ビラまきの呼びかけは全国一般労働組合全国協議会といわき自由労働組合) 雨のため人通りはまばらでしたが、ビラの受け取りは上々。いわき駅に着いたばかりの全国一般全国協の平賀委員長や平和フォーラムの藤本共同代表らも合流してくれました。 午後の屋内集会にも遺族とともに参加。集会では全国一般全国協の平賀委員長から遺族を紹介していただきアピールをさせてもらいました。