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2.25報告集会

 Mさんの証言を傍聴席で見守った後は報告集会へ移りました。

齊藤弁護士は「昨年12月にはじめてMさんにお会いして、証言を快諾していただいた。Mさんの現場で働いた生の声を届けていかないといけないと思い、頑張ってもらった。タイムカードや入退域の時間は客観的にはっきりしているが、その中で休憩などの時間を明らかにできたと思う。」「イチエフは高線量下での作業を強いられる。だから裁判官も防護服の着脱の時間を聞いてきた。労基署の認定した就業時間が修正されるかもしれない。判決を楽しみにしていきたい。」と判決にに対して前向きな意見を述べられました。

 損害賠償裁判について霜越弁護士は「被告(いわきオール)から忠昭さんの死因について致死性不整脈ではなく肺塞栓ではないかという反論があった。肺塞栓症なら労災にならないということを狙っている。しかし、その根拠は肺塞栓症のガイドラインの有利になりそうな部分を引っ張ってきているだけ。万全の態勢でその主張を否定し、これが労災であるということを明らかにしていきたい。」と、責任逃れを図るいわきオールを批判し、新たな決意を述べられました。

 未払賃金裁判の判決は3月26日13:10から福島地方裁判所いわき支部にて行われます。ご注目をお願いします。

 以下、報告集会での原告・ご遺族やMさん、会場からの発言を紹介します。

 ・Mさんの細かい証言、朝4:30から8:00までの細かな作業(準備)のことを聞いて、今もこんな大変な作業をしている人々のことを思い浮かべました。
 夫からこんな事を聞いたことがなかった。妻もわからない現場の話を世の中に明らかにされたことに感謝したいと思いますし、こんな大変なお仕事をされていたことに、ご苦労様でしたと言いたいと思います。
 こんな大変なお仕事をされている方の命を守れる裁判にしたいと思います。
 今日は夫がMさんのそばにいて応援していたと思います。
Aさん(原告・忠昭さんのお連れ合い)




 ・口数の少ない父の仕事のことをMさんが証人尋問で教えてくれました。
 本当に大変なお仕事をされていたパートナーなんだと感じました。ありがとうございました。
 証言で感じたことですが、休憩時間が曖昧でグレーゾーンなんだと思いました。大変な現場なんだから休憩もきっちり管理しないといけないと感じました。準備が大変なお仕事、環境なので休めない人も多いと思います。そこを守れるように徹底して欲しいと思いました。
Kさん(損害賠償裁判原告・忠昭さんのご長男)
 

・はじめての経験で緊張しました。昨年いわきオールを退職しましたが、今でもタイムカードを押したあとも働いている状況は続いていると思います。それを少しでも変えられたらと思って証言に立ちました。
Mさん

以下は、報告集会に参加された方からの発言です。

・休憩時間のグレーの部分を変えないといけない。ヘルパーの仕事も一緒だと感じた。タイムカードを押してからも作業することはある。でもその通りに書くと利用者さんへの負担がかかる。自分たちと一緒なんだと感じました。

・Mさんの証言を聞いて「Honesty is the best policy=正直は最善の策」という言葉を思い出しました。とても誠実な証言でした。でも、これからの裁判で「正直は最善の策」が通るのか?それは応援する側の問題だ。実際に働いている人、浜通りの避難者が正直に想いを語れるように私たちが努力しなければならない。

・猪狩さんのある意味のパートナー、生きた証を示せる人が証言に立ってくれて、猪狩さんも喜んでいると思う。

・いわきオールは過労死を否定しようとしている。許さずに原告を応援し続け、判決を迎えましょう。

・裁判にはじめて参加しました。法廷の空気や相手側弁護士の表情をみて、胸が苦しくなりました。これは本当に大事なことを勝ち取ろうとする闘いなんだと感じました。

・サマータイム時、防護服をつけたまま休憩を取るという証言に胸が痛みました。

・Mさんの話を聞いて、東電と国の責任を問わないといけないと思いました。いわきオールはふざけた会社だけど、オールは東電のルールに縛られていたのだから、東電の責任を追及しなければならない。


 

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