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遺族の思い①

 2019年3月25日に行われた損害賠償裁判の第一回口頭弁論での原告(猪狩忠昭さんご遺族)の意見陳述です。5月19日の集会と第二回口頭弁論(5月23日)にむけて、ご遺族の思いをアップしていきたいと思います。

以下


昨年10月16日、夫の命日10日前に、労災認定の連絡を受けました。
夫が亡くなってからの一年間、沢山の方々のご協力により数々の聞き取りと調査などの結果、長時間労働が認められました。
しかし、私共の調査聞き取りから、亡くなった当日の状況に、隠蔽の疑惑があります。
当時、宇徳の関係者及び同僚整備士より、当日の時系列での状況を聞いていた内容と、医師らのカルテの内容の相違や、警察の事情聴取に、現場にいて関わった人全員がなぜ受けなかったのかなど、まだまだ多くの不信があります。
夫の死亡原因が長時間労働だけではない事を明らかににする為、人命よりも利益を優先する企業に対して、真実の追求と夫の名誉の為、今回提訴に至りました。
死亡当日の事実、隠蔽を裁判を通して明らかにして下さい。
当日夫に携わった方全員の証言を求めます。
また、労災認定を受けても尚、企業側は当初からの「認識が違う、コメントする立場にない」などと、一貫して不誠実な対応を変えません。非人道的な発言、対応を許せません。

夫の遺品の携帯に残された写真から、私達家族が知り得なかった、日々の作業の過酷さや、証拠と成りうる資料などが、沢山ありました。
しかし、あらゆる証拠を携帯に残して亡くなった夫は、本当は家族に話したかった事や、不測の事態を覚悟していたのではないか?何かあれば頼むぞ、と言っている様に感じてなりません。
夫が亡くなってから、整備士、作業員同士の絆や、他社からの引き抜きの話を断っていたなどを耳にして、夫は原発事故収束作業に携わる事に誇りを持って、惜しげも無く技術を提供し働いていた事が想像出来ました。

今現在も4,000人以上の作業員の方が、被ばくと言うリスクを背負って作業に従事しております。命を削って働いています。彼らがいなければ、収束はあり得ません。
原発作業員の労働環境、賃金の改善、危険手当の完全支給、救急医療措置、放射線被ばく管理、安全確保、健康管理、生活保障、雇用条件の是正そして、これまで尊い命を落とされた方々の再調査を強く望みます。

東京電力の記者会見での「作業との因果関係はない、労災といったものではない」との断言に対しての撤回と謝罪、死亡時の説明、救命措置の落ち度、事実内容の露呈を求めます。
何をしても夫はこの世に戻っては来ませんが、夫の代わりに、真実を追求し無念を晴らす事が、何よりの供養になると思います。

うつくしま福島を原発事故で汚染し、故郷をなくした人々や、収束作業に携わる方々に誠意と敬意を持って対応して下さい。
二度と過労死、事故死を起こさせないで下さい。
原発事故と言う前例のない東京電力が起こした事故により、働き命を亡くした方への責任の所在をはっきりさせ、尊い命の重さに対する誠意ある対応を望みます。
命より大切なものはないはずです。

最後になりますが、裁判を始めるに当たり、意見陳述の場を与えて下さった裁判所に対して感謝申し上げます。
以上

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東京新聞が5月23日の意見陳述について記事を書いてくださりました。ご覧ください。